【第一幕】
●テレビの臨時ニュースで、アナウンサーが宇宙人の襲来を告げる。その途中でテレビ局が宇宙人に襲われ、放送中断。
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●場面変わって山奥。
子供たちを乗せたスクールバスがエンスト。運悪く、そこに宇宙人があらわれる。
●カーラジオのニュースで「宇宙人は音楽が嫌いで、楽器の音色に弱いらしい」という情報。
それを聞いたバスの運転手が「そうだ、君たちは学校で学んでいる楽器を自習用に持ち帰っているはずだね!?」と尋ねるも、子供たちは練習がイヤで、楽器を置いてきてしまったと言う。1968年のゆとり世代(笑)。
ホルンを持ってる子がいるんだけど、なんか、ホルンじゃ今ひとつダメらしい。
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●だが、ひとりだけ「私、バイオリンを持っているわ!」。それは美少女エミリーちゃん。子供たちは「勇気を出して行ってきてくれ」「がんばれー」と無責任に励まし、エミリーちゃんひとりを宇宙人がいる茂みの奥へと押し出す。
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●勇敢なエミリーちゃんは、ヴァイオリンを弾きながら森の中へ消えてゆく。
※ここでエミリーちゃんがソロで弾く旋律が、もう、超絶に美しい。このあたりはバーバーに通じる感じもあるし、メノッティが敬愛するプッチーニのアリアのような繊細ではかない哀愁もあるし。たまらない。しかし、こんな名曲が流れる場面が「宇宙人退治」であるところがすごい。
【第2幕】
●学校の、校長室らしき部屋。子供たちの行方がわからず、宇宙人に襲われているのではないかと大騒ぎになっている。
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●音楽の先生は、春休みなので家で楽器の練習をするようにと言ったのに、子供たちがみんな楽器を置いて帰ってしまったことに怒っている。さらには、校長先生が音楽教育にあまり熱心でないことにも腹を立てていて、もう学校をやめようとしている。
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●ちなみに宇宙人は「音楽が嫌い」な上に、もし宇宙人に触られると、その人は言葉をしゃべる能力を奪われてしまうらしい。
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●こんな大変な時なのに、疲れてソファで居眠りをしてしまう校長先生。案の定、宇宙人がやってきて、校長をツンツンと突いて出てゆく。校長、言葉をしゃべれなくなってしまう。
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●教師や学友たちは、それぞれ楽器を持って子供たちを救出に向かうことに。勇ましいマーチを奏でながら山の中に向かう。言葉をしゃべれない校長先生も♪ラーラーラーと、Aの音だけを発しながら同行する(笑)。
【第3幕】
●運転手と子供たちは、バスの中でエミリーの帰りを待っている。
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●また宇宙人が襲ってくる。
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●そこに学校からの援軍が到着。彼らが鳴らす楽器の音に、宇宙人は退散。
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●しかし、エミリーが帰ってこない! そこで、みんなでエミリーを探しに行くことに。
※ここに「地球防衛軍VS宇宙人」の設定が入ります。
【第4幕】
●森の中。ひとり果敢にバイオリンを弾いて宇宙人と戦っていたエミリーだが、ついに力尽きて寝落ちしてしまう。
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●エミリーが眠っている間に宇宙人が来て、バイオリンを壊して去ってゆく。目覚めたエミリー、愕然とする。
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●絶望し、悲嘆にくれるエミリーのところに、♪らーらーらーしか言わない校長先生があらわれる。
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●楽器を持った音楽の先生たちが遅れて到着。無事、エミリーを助ける。
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●ちなみに校長先生は、とうとう見た目も完全に宇宙人になってしまい、空の彼方へと飛ばされていってしまう(笑)。
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●どうやら音楽の先生は校長と結婚を約束した仲だったらしいが、校長は音楽を愛さないことがよくわかったし、宇宙人になっちゃったし、「ま、またいい人を見つけるわ」的な感じで、意外とあっさり気持ちを切り替える。
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●音楽の先生は子供たちに音楽の大切さを説き、「みなさん、これからは楽器を一生懸命に練習しましょうね」。楽器を練習しないと宇宙人に襲われたり、宇宙人になってしまったりする恐ろしさを知った子供たちはさすがに心をいれかえ、皆それぞれ楽器を奏でながらハッピーエンド。